不整脈
不整脈って?
不整脈とは心臓の鼓動のリズムの異常です。脈拍が遅くなったり、速くなったり、不規則になる病気の総称です。動悸や息切れなどの自覚症状が見られることが多いですが、自覚症状が出現しないケースもあります。
不整脈の種類
- 脈が遅くなる不整脈(徐脈)
- 洞不全症候群、房室ブロック など
- 脈が速くなる不整脈(頻脈)
- 心房細動、心房粗動、発作性上室性頻拍 など
- 脈が乱れる不整脈
- 期外収縮、心房細動 など
不整脈の検査
心電図が最も重要な検査になります。診察時に不整脈が出ていない患者様ではホルター心電図(24時間心電図検査)により診断が付く場合があります。
不整脈の治療
脈が遅くなる不整脈は症状の有無が重要になります。めまい、失神、息切れなどを起こす場合はペースメーカという機械を体に植え込む治療が推奨される場合があります。健康診断等で指摘された無症状の場合については、お話を伺った上で適応判断が必要です。
脈が速くなる不整脈は動悸で来院されることが多い疾患です。不整脈の種類によってはアブレーション療法というカテーテルによる手術療法での根治を目指す場合と、内服治療でのコントロールを目指す場合があります。
脈が乱れる不整脈で注意しなければいけない疾患に心房細動があります。動悸や心不全の原因になる疾患ですが、心臓内で血液のよどみが生じて血栓を形成し、脳梗塞を起こすリスクがある疾患になります。合併疾患等を加味して抗凝固療法(血をサラサラにするお薬の内服)を推奨する場合があります。
心不全
心不全ってどんな病気?
心不全とは、心臓機能が低下することによって、息切れやむくみ、呼吸困難などが起こる病気です。心不全は急な悪化に対して速やかに治療を開始しないと命に影響する怖い疾患です。心不全は患者様の数が増えてきており、軽症の段階で治療介入していくことが求められています。数日から数週間かけてゆっくりと悪くなるタイプの心不全と、数時間単位で悪くなるタイプの心不全があります。息切れやむくみが新たに生じた場合は、出来るだけ早くご相談下さい。
心不全の検査
最も大切なのは身体所見になります。合わせて、血液検査、胸部レントゲン、心電図検査、心エコー検査などで詳しく診ていくことになります。血液検査では、特に脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が診断や増悪なく経過しているか判断する上で有用です。当院では緊急検査できます。また胸部X線検査で、肺に水が溜まっていないかなども有用です。心エコー検査は心不全の根本的な原因を探る上でもっとも重要です。慢性心不全や心臓弁膜症の患者様は定期的なエコー検査を行います。
心不全の治療
心不全の治療として、利尿薬や心臓保護薬を継続します。これと同時に、貧血、肺疾患、慢性腎不全を合併している患者様にはそちらの治療も同時に行うことが重要です。心不全の治療は心臓だけの治療でなく、すべての臓器の疾患をきちんと管理することが寛容だと考えております。治療は長期継続を要することが多く、治療を中断することで再増悪するリスクが高くなり、増悪を起こすたびに予後を悪くすると言われています。
虚血性心疾患
虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)とは?
心臓は筋肉の塊ですが、その周りには冠動脈と呼ばれる動脈があります。この血管により心臓に酸素や栄養を送り届けています。この血管が狭くなる、または詰まってしまう疾患が虚血性心疾患です。胸の痛みや背中の痛み・圧迫感、肩への放散するような痛み、顎の痛み、または突然の嘔吐や疲れやすいなど症状は多岐です。特に心筋梗塞は心臓筋肉が壊死してしまい、死に至る場合や重篤な後遺症を残す場合があり、早期診断が重要です。
いつ相談したらいいですか?
疑ったらすぐに相談してください。緊急性が高いかは心電図、心臓エコー、血液検査(トロポニン検査)が有用です。胸部不快が持続している患者様は優先的に診察しますのでお声掛けください。切迫している場合は緊急カテーテル検査・治療ができる施設へ救急搬送いたします。
定期的な胸の痛みや違和感を繰り返している場合は、待機的に予定検査を勧めていくことが推奨されます。エコーや心電図で診断がつかないものについては造影CT検査や心筋シンチグラフィー(アイソトープを使用した検査)で診断できる場合があり、行える施設にご紹介し、結果は当院でご説明します。
虚血性心疾患の治療
主な治療法としては、薬物療法、経皮的冠動脈インターベンション、冠動脈バイパス手術があります。またそれと並行して動脈硬化予防治療を強化していく必要があります。経皮的冠動脈インターベンションは、いわゆるカテーテル治療です。手首や足の付け根の血管から2mm程度の管(カテーテル)をすすめ冠動脈へアクセスし、狭くなった部分をバルーン(風船)で拡張したり、ステント(金属の筒)で拡げて、血液の流れを良くする治療法です。カテーテル治療では不十分もしくは安全性が保たれない場合は外科的治療であり冠動脈バイパス手術を必要とします。患者様の症状や年齢、合併疾患を考慮して選択します。